Friday, September 14, 2007

ミジンコはツボカビがお好き!?

今年は「ミジンコはツボカビがお好き」話を色々な形で宣伝した。1つのネタをここまで持ち回してよいのだろうか、という位、本当にしつこく宣伝した。

1)論文(4月受理、6月発表)
「ミジンコはツボカビを食べると成長が良くなる」という実験結果と、「ツボカビにはミジンコの成長に必須なコレステロールが豊富に含まれる」という分析結果をメインに論文を書いた。2年間の奮闘後、Royal Societyに受理された。長い道のりだったが、思った以上に読んでくれた方が多く、とても満足している。この論文の受理をきっかけに、プレスリリースを発表した。すると...

2)プレスリリース(4月発表)
大学広報の一環として、卒業生によるプレスリリースが試行されている。卒業生は生物学の知識もあり、大学のスタッフとも顔見知りであることから、この試みは順調なスタートを切っている。ミジンコ&ツボカビネタもとても上手くまとめてもらった。自分の研究成果のどこが一般に面白いのか、どの点が社会に貢献できるのか、を考える良い機会であった。ちょうど世間を騒がせていたカエルツボカビ日本初確認のニュースと絡めたため、新聞社からの問い合わせがすぐにあった。

3)読売新聞(4月)
読売新聞の記者の方が取材にきた。カエルツボカビ症に直結する研究ではないので、コメントには極力気をつけた。しかし新聞、世間はやっぱりカエルツボカビに興味があるのだろうか。記事はなんとなくカエルツボカビの抑制にミジンコが効く、といったように見える・・・

4)NHKサイエンスゼロ(10月放送予定)
プレスリリースの影響も消えたと思った頃に、テレビの取材がやってきた。カエルツボカビの特集番組を組んでいる中で、ミジンコがツボカビを食べる、話を見 つけたそうだ。顕微鏡映像や研究室の様子がどのように放映されるのか、ちょっと楽しみでもあるが、私の研究が拡大解釈されませんように、と、ちょっと不安 でもある・・・

5)学会発表(8、9月)
大きな植物プランクトンはミジンコには食べられず湖の底に沈む「ゴミ」として扱われてきた。しかし、大型植物プランクトンがツボカビ症に感 染すると、その栄養素はツボカビに吸収されて、遊走子の形でミジンコの口に至る。この物質の流れを自分の名前Maikoと菌類学(Mycology)をかけて Mycoloopと命名した。おやじギャグ、との反響も多いが、意外と受ける。このネタは既に2004年から発表しつづけているので、そろそろ教科書に 載ってほしいなぁ...

4)学科紹介
学科の環境科学トピックスのコーナーや、入試合格者に向けた瓦版、オープンキャンパスなどで、ミジンコがツボカビを食べる事を紹介している。カエルツボカビ症の話を知らなかった高校生達にも、ミジンコはかわいいので、結構興味をもってもらえたかな?

Monday, January 15, 2007

ツボカビ日本上陸!?

先週、日本(アジア)で初めてカエルの激減を招くツボカビ症が確認された、とのニュースが出た。東京でペットで飼育していたカエルの死体からツボカビ症が確認されたとのことで、野外への拡大・伝搬が危惧されている。

さて、カエルツボカビ症のニュースを見て、私も何か出来ないだろうか?と考えた。私はカエルではなくプランクトンに寄生するツボカビの研究を続けてきた。ツボカビに寄生されたプランクトンはカエルと同様にほぼ死亡し、野外での寄生率は時として90%以上にもなる。ツボカビの寄生現象は特定のプランクトン種の大量発生(ブルーム)を終焉させる重要な要因なのだ。例えば夏期に大量発生する緑藻類Staurastrumや、春の珪藻Asterionellaは、ブルームの終期にほぼ100%ツボカビに寄生され、湖から姿を消す。

私がカエルツボカビ症問題に貢献できる事は、おそらく「野外でのツボカビの現存量や動態を把握する」事かもしれない。今、生態学者として早急に調べなくてはならないことは、「日本のカエルはツボカビに感染されているのか?」「カエルに感染するツボカビは日本の土地に存在するのか?」といった問題だろう。

水中のツボカビの存在を単独で確認するのは非常に困難である。プランクトンの場合、寄主にくっついた状態で検出する方法が一般的に取られている。それでも見逃される可能性が高いので、ツボカビの胞子体に含まれるキチンを染める染色材(CalcoFluor White)を使い、蛍光顕微鏡下で確認する方法が確実である。

では、水中に漂うツボカビの子供ともいえる遊走子はどう検出すればよいのか。遊走子はツボカビの生活史における一状態である。寄主(プランクトンや両生類)くっついた胞子体が十分に大きくなると、鞭毛のついた遊走子が水中に放出される。遊走子はその大きさが2-5マイクロメートルで、形態的によく鞭毛虫と間違えられがちである。ツボカビ遊走子の特徴は鞭毛虫に比べて丸く、大きな油滴をもつことである。その油滴を染める方法もあるが、特異性が低く、あまり有用ではない。やはりDNAプローブが必須ではないか。現在、開発を進めている。

野外でのツボカビの動態を把握するうえで、食物網構造を考慮に入れることも大切である。プランクトンに寄生するツボカビの遊走子は、その大きさと形態から、ミジンコに食べられ消化されることが明らかとなった。ミジンコがいることでツボカビの寄主となる珪藻や緑藻は病気にならずに済む場合もある。カエルの遊走子はどうなのか?ミジンコか何かに食べられるのか?また、ツボカビに寄生されたカエルが鳥などの捕食者に食べられた場合、ツボカビ感染症は広がるのか、抑えられるのか?ツボカビは消化されるのか、あるいは消化管の中でも生き残り、糞を介してより広域に広がっていくのか?

これらの問いに答えるべく、カエル博士、長谷川雅美氏と昨日チームを結成した。今後、大学院生や他の専門家と協力し、ツボカビ症問題の解決に貢献していきたい。

Tuesday, January 02, 2007

Mycoloop?

What is Mycoloop? The name "Mycoloop" name comes from Mycology + Maiko, related to my scientific discovery, the new pathway including parasitic fungi in aquatic food webs. Since the idea of Mycoloop has been rejected by Natuxx, I decided to publish it in a more appropriate way. Now, Mycoloop is the network around Maiko. So, please join the Mycoloop!

異動

久々の投稿です。鏡味です。 東邦大学理学部の湖沼生態学研究室は2018年3月をもって解散することとなりました。 研究室が始まったのが2007年、53名の学生が卒業しました。研究室は学生や研究員の方々の研究・サポートなしにはありえませんでした。今まで本当にありがとうございま...